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刺激的だった6月議会 [岡山市政]

 六月議会が閉会しました。
 政隆会から議員定数削減の条例案が出され、質疑があったり委員会付託されたりと、まれな例があり、議会の運営ルールについて理解を深めました。

 条例案については森脇浩之議員の提案理由に対して質疑を行いました。
 「少数精鋭で質の向上を」という森脇議員と、「市民の多様な意見を反映させるための議員に少数精鋭は当てはまらない」という私の問題意識はかみ合わない部分はありましたが、議論をしたこと自体はおもしろい経験でした。
 議会運営委員会が継続審査としたことについて、反対討論と賛成討論が行われたというのも一期目の4年ではありませんでした。いろいろ刺激的な六月議会でした。

 公職選挙法違反で逮捕・起訴された太田武正議員に対する辞職勧告決議案を政隆会と日本共産党岡山市議団が共同で提案しました。
 市民ネットの羽場頼三郎議員が推定無罪と決議をあげても辞めさせる効力がないことを理由に反対討論に立ちました。決議をあげることは、公明正大が求められる選挙で現職議員が逮捕・起訴されたことについて、議会としての意思表示です。辞めさせる効力の有無が問題なのではありません。

 私の質疑は長いので別に載せました。一回目の質疑は次の通りでした。
  日本共産党岡山市議団を代表して、林潤が乙第7号議案について質疑をします。
 乙第7号議案 岡山市議会議員の定数及び各選挙区選出議員数に関する条例の一部を改正する条例の制定について、は岡山市議会の定数を52から43へ、現在の82.7%に減らそうとするものです。
 私たちは、議会改革は必要だと考えています。その一つである議員報酬削減について、平成21年9月議会での市長提案にも平成21年11月議会での公明党提案にも賛成しました。
 平成23年2月議会では日本共産党岡山市議団として報酬削減提案を行いました。議長月5万円,副議長・議員月4万円の報酬削減で年3,200万円を生み出すものでした。
 しかしいずれの報酬削減提案も多数決で否決されてきました。

 日本共産党岡山市議団は、費用弁償については廃止前から受け取りを辞退し、政務調査費については条例で公開される前から自主的に一円から公開してきました。
 情報公開のもとでは,市民に説明のできない使い方はできません。公開自体が無駄遣いを抑制する効果があります。この二月議会では、政務調査費を13万5,000円から10万円への引き下げで2,184万円の財源を生み出す提案をしました。
 毎議会ごとに市民の意見を聞く会を開催し、市政ニュースを発行して、市民の意見を聞き、市政の情報提供を行ってきました。
 開かれた議会にするために、費用を削減するために日本共産党岡山市議団は提案、行動をしてきました。
 その上で今回、提案された定数を削減する条例案に疑問を投げかけるものです。

 議会は市民の代表の集まりです。
 「議員も少数精鋭で」という意見があります。
 精鋭、いい響きです。私も精鋭と呼ばれてみたい。ただし議員は市民から選抜されたエリートであってはならない、と思います。
 企業など特定の活動目的を持つ集団が目的達成のために構成員の中からふさわしいものを少数選んで特に訓練して業務に当たらせる、ということは行われていて効果もあるでしょう。
 しかし民主主義の制度として住民の意見を反映させるのが目的の議員には「少数精鋭」は当てはまりません。
 政治決定を一人の君主や少数者が独占していた時代から、より多くの人々が平等に加わることができるようにしてきたのが、民主主義の発展の歴史ではないでしょうか。
 もちろん議員となったからには、市政に通じ、市民の声を取り入れるために研鑽を積むべきですが、人数にかかわらず取り組むべきことです。
 市民が願いを議会で取り上げてもらうためには、議員に相談し代わって行ってもらうしかありません。その点では議会の専門家、有資格者と言えます。その専門家52人が多い人数でしょうか。
 医療のことなら医師に相談に行きます。市内には52人以上います。法律のことなら弁護士に相談しに行きます。52人以上います。70万人弱の市民に対応するために52人が多いとは思えません。
 議会には若い人も人生経験を積んだ人も、男性も女性も、職業経験もいろいろな議員がいてこそ多面的に市政をチェックし市民に必要な政策提案ができます。

 岡山市の実例を見ると議員が様々な役割を果たしてきました。
 平成19年の9月議会で、浦上議員は岡山市が政令市移行する際に審議会が答申した三区割りの案を優等生的に上手に分けたケーキに喩えられました。
 行政区画等審議会の委員数は19人でした。大学教授など頭のいい人たちが、人口や面積、公共施設配置など統計データと図面でバランスよく区割り案を答申しました。
 当初から市民と日常的に接していない委員に市民の声が伝わるか、とは当時の議員からも疑問の声がありました。
 実際、現在の中区の地域住民から異論が噴出しました。中区に相当する区域の13人の議員が市民の生活実感を反映させた今の中区を作るために頑張りました。
 連合町内会長が入っていた行政区画等審議会より、我々議員の方が中区の市民の願いを市政に反映させたのではないでしょうか。
 区割りという限られた問題を論じるためだけでも19人では不十分でした。
 家庭ごみ収集有料化の際には、市議会が徹底的に議論し継続審議とし、市に説明会を開催させ、その経過を通じて低所得者等への減免制度やごみ減量策を充実させました。
 シルバー人材センターの不正経理事件では、可決凍結とし、市民の税金が無駄に投入されないように条件を付けました。
 こうした議会の取り組みが市民に十分に知られていません。議員の定数もご存じないのに「議員を減らせばよい」という市民もいます。
 岡山市議会は頑張っています。まずそこには自信を持って議会の役割、議員の仕事を市民に知らせる取り組みを徹底的に強化した上で、市民の意見を聞く必要があります。
 連合町内会などから、経費削減策として定数削減の要望が出されています。
 議会費は市の一般会計の0.5%を推移してきて21年度では0.4%に下がりました。区役所などに貼ってある市の財政資料のポスターでは「その他」にまとめられてしまっている費用です。
 これを市政の無駄遣いの最重要課題のように言われると困惑します。議員削減要望を出した団体からこの間、他に市に対して無駄遣い削減の要望があったとは聞いていません。
 議員を減らしても無駄な予算を通しては少しも節約にはなりません。この0.4%は残り99.6%の市政の無駄遣いをチェックし市民の声を市政に届けるための経費です。それをきちんと活用する提案こそ今、必要です。
 

 新人議員の皆さん、初議会はどうだったでしょうか。外から見るのとやってみるのとでは違いがあったことと思います。
 有権者は「あなたに議員になって欲しい。市議会でしっかり声を届けて欲しい。」と一票を託されたはずです。その思いを受けて今議会では15人、全員が登壇されました。
 県内他市では選挙直後の議会で「先輩議員を見て勉強します」と新人が誰も質問に立たなかった議会があったということです。県議会でも質問に立たなかった新人議員がいました。もったいない話です。
 熊代昭彦議員がおっしゃったように、質問時間が保障されている岡山市議会はすばらしい議会だと思います。
 この議会の活動を市民にしっかり知っていただくことが今、課題だと考えます。
 市議会だよりの改善、委員会のインターネット中継、議員の議案への態度・出欠の広報、土日の議会、傍聴席のバリアフリー化など工夫はいくつも考えられます。一問一答も課題です。
 市民に開かれた議会にする努力を尽くしながら、市民の意見を聞き、議会改革を進めるべきです。

 定数削減の弊害は無視できません。
 定数削減で当選ラインが上がると、新人、草の根の候補者は当選が難しくなるのが現実です。定数削減は議員になって直接、政治決定に関わりたいという有権者に門戸を狭めることになります。
 定数を減らした場合、議会構成が全体として比例して縮小するわけではありません。先の選挙を見ると東区と北区で最下位当選は女性でした。現在は、52人中7人で13.4%です。それが43人中5人の11.6%へ減少します。
 国政でも分かるように定数を削減し小選挙区の性格が強まると大きい勢力に著しく有利になります。
 「仕事をしていない」と言われる議員は選挙で落とすしかありません。得票数と議員の仕事の比例関係を示すデータは示されていません。定数削減で減るのが仕事をしない議員とは限りません。現実主義の議員の皆さんこそがよく分かっていらっしゃると思います。
 
 議員定数の削減は議員の多様性を減少させます。市民生活のあらゆる場面に及ぶ市政を論じる議員はそれなりの数が必要です。
 市民生活に密着して多様な市民の声を市政に反映させるために、市民一万3千人に一人の議員をさらに減らすべきではありません。
 
そこでお尋ねします。

1。そもそもの議会の役割と議員の仕事は何だとお考えですか。
2。一人だけで広汎かつ強大な執行権限を持つ首長に対して、各界各層の住民から選ばれて意見を言い行政執行を監視するのが議員の役目だと考えませんか。
3。合併を重ね、実質的に住民あたりの議員数は減少しています。なぜ今、削減提案ですか。
4。費用削減のためなら、定数より報酬と政務調査費削減が先ではありませんか。
5。市民に議会のことをもっと理解してもらう取り組みが先決ではありませんか。
6。初の政令市選挙直後の削減提案はなぜですか。有権者の意識や区選出になった議員の活動の変化を検証し、新人議員の意見を取り入れてもっと時間を掛けて議論すべきではありませんか。
7。議会内の役職や委員会数から議員定数を考えるのではなく、住民の代表として人口から考えるべきです。議会構成から定数を考えるのは住民主体とは出発点が違うと思いませんか。
8。常任委員会の数は法で定められてさえいません。現に前議会では所管事項に変更がありました。委員会自体の数も市政に対応して変更がありえます。
 委員会構成の変更と議員定数の変更が直結した考え方でいいのでしょうか。ご所見をお聞かせください。
9。定数削減は議員の多様性を減少させると考えませんか。
10。前回の選挙に当てはめると北区と東区の最下位当選者は女性でした。今でさえ議会に女性が少ないことは国も問題視しています。女性の政治参加に反すると考えませんか。
11。大組織有利な選挙になると個々の有権者より団体の意見に左右される市政になると考えませんか。
12。得票数の少ない議員がふててサボっているわけではないと思いますが、得票数と議員の働きの関係を示す客観的なデータはどんなものがありますか。
13。農地にかかる収賄事件で有罪になり、辞職した議員は三期連続トップ当選でした。選挙違反で逮捕・起訴された議員は東区で二位当選でした。定数が少なくても当選していた人たちです。定数削減と議員の資質向上は別問題ではありませんか。
14。質問で市長の行政執行と政治姿勢をただし、議案を審議し場合によって否決することは議員にしかできません。議会質問と議決こそが議員の最大の権限です。定数削減はその権限を少数で独占することになります。ご所見をお聞かせください。
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